ライナーノーツ

例大祭から約2ヶ月経過して、今更かと思いますが、
Scarlet Destinyのライナーノーツを書いてみました。
長いです。続きからどうぞ。

[Scarlet Destiny] ライナーノーツ

0.タイトル

まず、以前の作品から継承して、漢字+英語で行こうかどうか考えたのですが、
やっぱり3連続で同じというのは(個人的に)面白くないなと思いました(笑

お嬢様を象徴する単語というと、運命、濃い赤系の色、血、月、夜、などなど。
そして色々組み合わせて考えてみたのですが、思いついたのがラストワードとモロ被り(汗
期限ギリギリまで悩んだものの、これ以外に相応しいタイトルを思いつかなかったので、
「Scarlet Destiny」が決定稿となりました。

1.beginning

始めは定番という事で、
東方お馴染みのメロディを乗せたイントロですよ。

あたりに霧がもわーっと出てきます。
視界が悪くなります。外は何も見えません。
まさに五里霧中と言ったところか。
この曲だけ原曲破壊気味。

2.闇夜行路 / ほおずきみたいに紅い魂

車を運転してる時にギターのストロークが降ってきました。
丁度ノートPCとキーボードを載せてたので、停車させて速攻で打ち込み(汗

ステージ1という事で「さあ、今から出かけるよ」みたいな感じを出してみました。

ちなみに暗夜行路とは何の関係もありません(笑

3.食べたい人が居る / 妖魔夜行

もちろん、性的じゃない意味で。
まぁ、別にそっちの意味であっても良いんですが(笑

虫の鳴き声をリズムにして夜な感じを、
中盤の木琴と笛のメロが交錯する所で妖しい感じを出してみました。

ブレイク後のなにやらボソボソ言ってるセリフは、
ルーミアの喋る会話の一文をアナグラムにしたものです。
喋ってるのはゲームをやっている僕らには日本語に聞こえるけど、
本来喋っているのは違う言語なんじゃないかと思ってしまったのです。

4.fickle elf / ルーネイトエルフ

湖で迷ってます。妖精に迷わされてると言うべきか。
迷子になると落ち着かなくなります。どこに行けば良いんだろう、という。
他の曲よりも静かだけど、落ち着けない。そんな曲です。
リコーダーは素朴な音だけど、使い方で妖しくもなると言う事を再認識。

アレンジ前に、ピタゴラスイッチのムービーが話題になってて、
そのバックでリコーダーが鳴ってたのを聴いて、
「リコーダーアンサンブルって良いかも？」と思って作りました。
見ていなければオカリナアンサンブルになっていたと思います。

5. Cirno Stylish! / おてんば恋娘

この曲だけタイトルにキャラ名が(笑
思いついたのは、Ca○suleを聴きまくってた時ですね。
メロとかは全然違うけど、ノリを似せてあります。
思い切り明るく弾けさせてみました。

カッコいいチルノにしたかった。⑨なんて言わせないよ。
ちょっと成長した感じをイメージ。
身長もちょっと伸びてそうな気がします。

6.虹のカメリア / 上海紅茶館 ～ Chinese Tea

ちゅ……美鈴のステージ曲という事で、古箏(琴)+二胡の組み合わせ。
image、feelシリーズの楽曲みたいな落ち着ける感じで。

この曲の視点は地上から。
ステージ3の陸地って、樹とか茂ってたりしそうじゃないですかね。川もあって。
あと紅魔館は、紅茶の葉を自給自足している感じがします。

中国のお茶の原料は、カメリアシネンシスというツバキ科の植物から取れるそうで。
その中に紅茶も含まれているので、そこから取りました。
栽培してるカメリアが、上空で戦ってる美鈴が放つ極彩色の輝きを浴びる、そんな場面を想像。

今思うと、ちょっとこじつけっぽいタイトルでしょうか…。
アルバムの中でここだけが息を抜けるとこだと思います。

7.interlude

プレビュー版に入れたのとあまり変わってません。
東方のタイトル画面のメロディと、セプテットのはじめの部分が繰り返される形で入っています。
このアルバムはお嬢様が最重要という事で、あのメロディを出来るだけ重視したかったのです。

紅魔館外/内の切り替えという位置づけ。

8.I’ll save your mind. / ラクトガール ～ 少女密室

タイトルはステージのサブタイトルから変化。

パチュリーの心を掬い(救い)上げるのは誰か。
この対面で魔理沙はパチュリーに様々な意味で衝撃を与えたんだと妄想。
図書館の中で完結していた世界が広がった瞬間でしょうか。
#パチュマリを応援してます

9.迷宮ミスディレクション / メイドと血の懐中時計

物語も佳境に入ってきましたよ。メイドだらけ。
アルバムの流れを見て、この辺りで激しくて疾走感のある成分が欲しかったので、
ハードロックにしました。メイドと言えばハードロック(ぉ

動くと咲夜さんの迷宮は複雑になります。
Hard以上では弾が跳ね返ってくるので、更に複雑に。

「出口の無い(隙間が無い)迷宮(弾幕)なら、出口を作れば(ボムれば)良い」
がこの曲の隠れたテーマだったりします。
紅魔郷の経験が浅かった時期はボム連発でステージ5をクリアしてました(汗

漢字+カタカナのタイトルってインパクトありますよね。
椎名林檎が良く使ってる。

10.四次元跳躍機関 / 月時計 ～ ルナ・ダイアル

普段やらないことをやっている所為なのか。
多分このアルバムの中で一番楽しんでできた曲だと思います。トランス系。

やっぱり時間停止はさせないとね、と思って効果音入れました(笑
割れる音は2つの意味があります。時間停止解除のイメージ音と、本当に割れる音。

1回目は唯の時間停止解除。その間ナイフばら撒かれて「チェックメイド」だとか何とか。
2回目も同じですが、解除までの時間が1回目よりも短くなってます。

最後のは意志に反しての解除と懐中時計の破壊、というイメージ。
音も前2つのに比べて強い割れ方をしています。

タイトルについて少し解説。次元と言う言葉について。
インターネットで検索した程度の知識しかありませんが、
物理学で次元を数えていくと、

０次元 ＝ 点
一次元 ＝ 線
二次元 ＝ 平面
三次元 ＝ 空間

と言う風に解釈されていますが、
さらに三次元の次、四次元があって、コレが

四次元 ＝ 時間

という風に考えられています。
三次元に時間の流れを加えたものになりますね。

咲夜さんの能力は、
「時を止める力 ＝ 四次元に(何らかの形で)干渉できる力」と、
ボクなりに解釈した結果、このタイトルが付きました。
(物理学等は習ったことがありませんのでツッコミは勘弁してください(汗)

11.Scarlet Destiny / 亡き王女の為のセプテット

今作最重要楽曲。この曲がなければこのアルバムは成立しません。
アルバムの中で一番最後にやったのがこの曲。
ステージもラスト、そして締め切りもラスト。
こちらでも追い詰められておりました(汗
アルバムタイトルを冠する曲だけに、一番気合を入れて作りました。

ボクの中で「吸血鬼＝パイプオルガン+チェンバロ」の方程式が成り立っています。
悪魔城の所為でしょう。

咲夜さんが単純に時間を操るという上で、
お嬢様は時間の流れるベクトルを操る事が出来ると解釈して良いんでしょうかね？
四次元を超えた五次元と言った所なのか。
現状から起こりうる範囲の全てのパラレルワールドが視えていると云う。
クロノスヘイズに出てくるシックスが頭に浮かびました(笑

イントロのパイプオルガンが終わる所で、扉がバターン！と閉まります。
そして禍々しいオーラを撒き散らしながらお嬢様登場。
ベタですがこういうの好きなのです。

そんな事を色々考えながらアレンジ。

ずっと前から「この曲をやる時は必ずオケを入れる」と決めてました。
これまでオケアレンジなんて一度もやった事無かったので不安だったのですが、
色々なオケの音源を参考にして、何とかそれっぽくは出来たと思ってます。
加えてラストなので激しく、お嬢様のカリスマ性が出る様に。

「＠～Charisma」でMorriganさんがティンパニでベース音を弾くと言うのをやってたので、
ちょっと真似てみました。カッコイイ。

12.Ending

最後は静かに綺麗に、終わりたかったんですよね。
霧の事件は解決。
お疲れ様、さあ帰ろう、みたいな。

99.あとがき

前半は割とキャラの個性重視、後半は物語重視で制作しました。
#美鈴には悪いことをしたと思っている(汗

このアルバムを作る前から、今までやったことの無い作風を、
過去に出した作品から来る自分のイメージとはかけ離れた感じに、
というのを目指していました。

一つの転換期でしょうか。
と言っても以前の作風を捨てたわけではないです。

ジャケットについては、
TOKIAMEさんのHPでガシガシ塗りたくった感じのカッコイイお嬢様を見て一目惚れしたので、
思わず依頼をしてしまいました。
ありがとうございます。愛してます。
表ジャケのお嬢様の背中がエロいです、ﾆﾔﾆﾔ。

デザインのASHIKI先生にはギリギリまで決められなくて色々と迷惑かけました。
ごめんね＆ありがとう。良い仕事してます。
また何かあったら宜しくね。

最後に、アルバムを聴いて頂いた方々、
そして東方を生み出したZUNさんに最大の感謝を。